アメリカFPの視察に行きます!

皆さま こんにちは!
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィスの寺田尚平です。
ゴールデンウィークの真っ最中ですが、皆様、どのように過ごされていますか?
私は、5月5日から11日まで「NAPFA2026年春季全米カンファレンス」に参加するために、アメリカミネソタ州ミネアポリスに行きます。
いったい「NAPFA」ってなに?となると思いますが、日本語に訳すと「全米個人財務アドバイザー協会」です。
金融商品や保険などの販売による、金融機関等からの手数料(コミッション)ではなく、お客様から頂く報酬(フィー)のみで業務を行う、フィーオンリーのファイナンシャル・プランナー(FP)の団体です。
参加するカンファレンスでは、フィーオンリーのファイナンシャル・プランナーが集まり、4日間に渡り、様々なセッションやワークショップが開催されます。
カンファレンスへの参加が、アメリカに行く目的ですが、もうひとつの大きな目的は、現地のファイナンシャル・プランナー事務所の視察訪問です。
それと、空き時間を利用して、中西部北部で最大の美術館「ミネアポリス美術館」や全米最大級のショッピングモール「モールオブアメリカ」などに、ちょこっと行けたら・・・と考えています。
独立系FPになって7年が経過して、お客様から喜ばれる機会も増えて来て、独立前にやりたいと思っていたことが実現できている状況に、自分自身、少し安住しているところを感じています。
コンフォートゾーン(居心地にいい領域)から抜け出し、新たな刺激を受けて、少しでもステップアップできたらと思い、アメリカに行くことを決断しました。
今回のアメリカ行きに際して、私自身の知識の整理も含めて、米国のFPの特徴、日本のFPとの違い、アメリカで確認したいことなどをブログにしましたので、よろしければ、ご一読ください。
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目次
アメリカのFPと日本のFPの違いは?

日本でファイナンシャル・プランナー(FP)と言えば、保険の販売している人って言われることが多く、FP資格を持つ人の多くは、保険会社、証券会社、銀行、不動産会社などに勤務している「企業系」と言われるFPです。
また、金融機関などに属さずに、独立しているFPにおいても、保険や証券などの販売した際に、金融機関から支払われる手数料(コミッション)を得ているFPも存在します。
保険や証券などを販売しているFPの多くは、保険や証券などを販売に結び付ける手段として、様々なアドバイスを提供しています。
私のように、金融機関などに所属せずに、保険や証券などの販売を行わずに、お客様からいただく報酬(フィー)を得て活動している、独立系フィーオンリーのFPは、非常に少なく、超希少生物で、特別天然記念物と言ってもいいくらいです。
これに対して、アメリカにおいては金融機関に属していたり、保険や証券を販売しているFPも存在しますが、独立系フィーオンリーFPの存在感が高まっています。
独立系フィーオンリーFPは、クライアントの全体的な財務状況、将来の目標、リスク許容度などを整理し、それに合ったファイナンシャル・プランを作成します。
そのプランは、預貯金、株式、債券などの資産配分のアドバイス、不動産の管理(自宅を含む)、ローン、保険、相続・贈与、事業承継など、多岐にわたります。
アメリカにおいて、FPは、医師や弁護士と並び称されるほど、社会的に高く評価されています。
「身体のことは医師に、法律のことは弁護士に、お金のことはFPに相談する」という考えが、広く認知されています。
その理由は、FPは単なる金融商品の販売員ではなく、顧客一人ひとりの人生に深く寄り添うアドバイザーとして重要な役割を担っているからだと思います。
また、FPが提供するアドバイスの範囲の広さと専門性の高さが評価されているのだと考えています。
アメリカにおいて、FPは顧客の人生における長期的なパートナーとして、社会に不可欠な存在としての地位を確立しています。
現地のFP事務所の視察訪問では、この点について、肌で感じてみたいと考えています。
FPの立ち位置・役割とは?

私が、FP向けの勉強会の講師を務めた時などに、紹介している書籍があります。
20年以上前に読んだ書籍ですが、アメリカのFPのバイブルと言われている「ウェルス・マネジメント~FPのための資産最適運用実践ガイド~」(著者:ハロルド・R・エバンスキー 訳者:三原淳雄・北山雅一 発行所:ダイアモンド社 発行年:1999年)です。
同書のなかで、FPの役割・立ち位置を表現するために、個別の株式や債券の選択に関する意思決定を行うことを職務としている「マネーマネージャー」と「ウェルスマネージャー(=FP)」との違いを明確にしています。
(以下引用)
すべてのプロのファイナンシャル・プランナーの場合もそうなのだが、ウェルスマネージャーはクライアントを第一に考えている。ウェルスマネージャーは、クライアントの資産を適切に運用することによって、人生のゴールを達成する助けとなるように努力する。マネーマネジャーが必ずしもクライアントの性別や職業、あるいは独身か既婚かといったことを知らないのに対し、ウェルスマネージャーはこれらのことをすべて知っているばかりでなく、クライアントの夢も目標も不安といったことも知っている。ファイナンシャル・プランニングの専門家としてウェルスマネージャーは、クライアントの具体的なプランを策定する。(中略)
ウェルスマネージャーの業務は、包括的かつ個別的に行われるものである。包括的であるというのは、クライアントの生涯の資金繰りについて重要でない情報などないからである。個別的というのは、成功を測る尺度が、マネーマネージャーにようにパフォーマンスではなく、クライアントのライフプランニングにおける目標が達成できたかどうかということだからである。(引用 終わり)
つまり、マネーマネージャーは、資産運用のパフォーマンスを最大化することが目的であり、ウェルスマネジャー(FP)は、クライアントのライフプラン上の目標を達成させることが目的となります。
私がFPを職業としているのは、まさしくこの点が原点であり、大事にしているこだわりの部分です。
実際、アメリカの独立系フィーオンリーFPが、どのような考えを大切にして、活動しているかを見てみたいと思います。
顧客本位と顧客満足の違い

独立系のフィーオンリーのFPの集まりであるNAPFAのウェブサイトを見ていると「受託者責任」という言葉は、ところどころに出てきます。
受託者責任(フィデューシャリー・デューティー:Fiduciary Duty)とは、英米法に由来する概念で、依頼人などから信頼を受け、その人のために自身の知識や能力を行使して職務を遂行する義務のことです。
単に「頼まれた仕事をこなす」だけでなく、「自分の利益よりも相手の利益を優先する(忠実義務)」ことや「プロとしての適切な注意を払う(善管注意義務)」ことが求められます。
医師や弁護士が、患者や依頼人との間に情報の非対称性があるため、専門家として信じて任されるように、一種の依存関係が生じる職業に課せられているのが、受託者責任です。同様のことが金融機関やFPにも求められています。
2017年から、金融庁は受託者責任をより実効的に、具体的な業務へ落とし込んだ「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表して、金融機関がより「顧客本位」を営業活動を行うことを推進しています。
「顧客本位」と「顧客満足」は、よく似た意味で使われることもありますが、その意図するところは、異なっています。
顧客本位とは、お客さまのことを知って、長期的な視野で、複合的な観点から、お客さまのためのアドバイスをすることであり、顧客満足は、お客様の意向に沿ったアドバイスを行うことなのです。
顧客本位と顧客満足のひとつの相違点として、顧客満足は必ずしもお客さまのことを詳しく知っている必要はありませんが、顧客本位はお客さまのことをよく知らないとアドバイスを行うことはできません。
また、顧客本位は、お客様のためになると判断した場合、時には、お客様の意に沿わない耳の痛い話もする必要もあります。
金融機関の投資信託の販売現場で起こりがちな一例で説明すると、定期的に分配金が受け取れることで、高齢者を中心に人気にある毎月分配型ファンドがあります。
分配金は、時には受け取る金額のなかに、投資した元本が返ってきていることもあり、資産を取り崩して使う必要のある高齢者等以外は、非効率な運用となることがあります。
これから資産形成を行う必要のある現役世代などには向いていない商品です。
しかし、お客様のなかには、目先の分配金を受け取れることに目が行きがちで、毎月分配型ファンドを希望されることもあります。
お客様のライフステージ、収入・支出、資産状況等を勘案することなく、希望されるなら・・・ということで販売する。これが、顧客満足です。
毎月分配型ファンドは、NISAの対象ではないため、特定口座などの課税される口座で購入することになりますので、そのお客様が、NISA口座の利用できる枠がある場合、あえて運用益非課税の恩恵を受けないという選択をすることになります。
現役世代など、お客様のライフステージを見据えるなかでは、毎月分配型ファンドが適していないこともあります。
その場合は、お客様の意に反することになるかもしれませんが、あえて毎月分配型ファンド以外の選択肢を提案することが、顧客本位です。
商品を販売することを目的としている金融機関の場合、お客様の意向とは異なる提案をして、販売できなくなるリスクを冒してまで、長期的な視野で、複合的な観点からの提案を行うことは、難しい面もあるのではないでしょうか?
アメリカの独立系フィーオンリーFPが、受託者責任や顧客本位の提案について、どのように考えているかを確認してみたいと考えています。
まとめ

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
アメリカにおいても、現在の日本と同じように、初期のFPは、生命保険、傷害保険、年金保険などを販売することを目的として、アドバイスを提供していました。
それが、お客様により高い価値を提供できるのは、保険や証券などを販売しない立場の独立系フィーオンリーFPであるとの認知が拡がり、発展して来たものと推察します。
社会環境、法制度等が異なる日本において、将来、同様のことが起こるかどうかは、わかりません。
しかし、終身雇用制度や退職金、充実した年金や健康保険などの社会保障制度に守られてきた日本人ですが、将来も同様に守られるかどうかは、甚だ疑問です。
また、長年続いたデフレから、物価の上昇が続くインフレ経済に転換したと言ってもいい状況です。
現状では、預貯金の利率を上回る物価上昇が続いており、実質的に預貯金は目減りしています。
このようななかでは、資産運用は一部の人が行うものではなく、多くの国民にとって必須のものに変わりつつあります。
多くの人が、自分の人生とお金について、今まで以上に、向き合う必要性が高まっていると感じています。
帰国後、FP向けの勉強会等で、アメリカFP視察の報告を行う予定もあり、多くのFPさんに、アメリカのFPの状況を伝え、自分も含めて、より高い付加価値を多くのお客様に提供できるFPを増やしていきたいと考えています。
しっかり学んできて、このブログでも報告したいと思います。