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「家族信託」を活用するにあたって大切なこと

 

こんにちは!老後のお金と相続の最初の相談窓口 ウェルビーイング・コンサルティング・オフィス ファイナンシャル・プランナーの寺田尚平です!

家族信託について、数回のブログでお伝えしてきましたが、今年の締めくくりとして、「家族信託」の活用にあたっての一番大事なことをお伝えしたいと思います。

過去の記事は、こちらから。

①注目が集まる「家族信託」 ~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その①~  https://wellbeing-wakayama.com/2019/10/07/4364/

②親が認知症になったらどんなことが起こるか知っていますか?~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その②~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/10/16/4391/

③課題がいっぱいの成年後見制度~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その③~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/10/22/4420/

④成年後見制度(法定後見)を利用したいですか?~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その④~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/10/24/4439/

⑤元気なうちに財産管理をする人を決めておく「任意後見」~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その⑤~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/10/26/4461/

⑥「財産の凍結」を防ぐ有効な手段「家族信託」とは?~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その⑥~  https://wellbeing-wakayama.com/2019/10/30/4481/

⑦財産の凍結に備える新しい切り札「家族信託」のしくみ~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その⑦~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/11/04/4536/

⑧遺言を超える財産の引継ぎができる「家族信託」~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その⑧~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/11/09/4556/

⑨将来のトラブルのタネ?「共有不動産」問題を解決できる方法 ~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その⑨~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/11/13/4576/

⑩「障害のある子どもの親なき後問題」にも効果を発揮する「家族信託」~親が認知症になってからでは遅い!今から考える親の老後のお金 その⑩~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/11/20/4610/

⑪事業承継対策~自社株の引き継ぎにも活用できる「家族信託」~ https://wellbeing-wakayama.com/2019/12/04/4650/

 

目次

「家族信託」で実現できること

「家族信託」を活用するとどんなことが実現できるのか、その概要は以下のようになります。※詳しくは、それぞれの記事をご確認ください。

①認知症などによって、財産が動かせなくなること(財産の凍結)から、発生する様々な問題を未然に防止すること(生前の財産管理・認知症対策)

②「遺言」と同様に、財産の引き継ぎ先を生前に指定することにより、相続トラブルを未然に防止すること(争族対策)

③「遺言」では、実現できなかった次の相続以降の財産の引き継ぎ先を指定すること

④共有不動産におけるトラブルを回避すること

⑤障害のある子どもの親なき後の生活を守ること

⑥中小企業の円滑な事業承継対策  

また「家族信託」の特徴のひとつとして、それぞれのご家族の状況やニーズに合わせて、「オーダーメイド」でしくみを造ることができる点があります。

裁判所が関与する「成年後見制度」や信託銀行などが提供する「商事信託」の商品に比べて、格別に自由度が高く、柔軟な財産管理や争族対策を行うことができます。

家族信託を活用するにあたっての留意点

家族信託の活用にあたって、注意しなければならないポイントをお伝えします。

①相続税対策はできない
相続の対策と言えば、「相続税を節税する」という相続税対策を連想する方も多いと思いますが、家族信託を活用することだけで、直接的な税務上のメリットが生じることはありません。

ただし、高齢の親が認知症などにより判断能力が低下した場合、賃貸物件の建築、不動産の組み換えなどの相続税対策がストップしてしまいますが、家族信託を活用することで、判断能力が低下した後でも、相続税対策を継続することができます。

②家族信託を設定した不動産の損失は、他の不動産の利益と通算できない(損益通算の禁止)

家族信託を活用することで、税務上発生する唯一のデメリットです。

例えば、賃貸アパートを2棟所有しているオーナーが、ひとつのアパートを家族信託の信託財産として管理を子どもに託し、もうひとつのアパートは、そのまま自分で管理しているとします。

毎年の確定申告では、2つのアパートの収支をまとめて申告することになりますが、ある年に、信託財産であるアパートが、大規模な修繕を行い、経費が収入を上回り、赤字になった場でも、赤字(損失)はなかったものとして扱われて、自分で管理しているアパートの利益から控除することができません。

信託財産から生じた不動産所得に関する損失は、他の所得と通算することができませんし、損失を翌年以降に繰り越すこともできません。

また、不動産を信託財産として、複数の家族信託契約がある場合、収支の計算は信託契約ごとに行う必要があり、契約をまたいだ損益通算を行うことはできません。

③手間と初期コスト

家族信託は「既製品」ではなく、家族の状況やニーズに合わせて、オーダーメイドなしくみを造ることができますので、家族だけで取り組むことは困難であり、専門家(家族信託コーディネーターなど)の関与が必要です。

専門職に依頼する手間や初期コストが必要なります。

ただし、成年後見制度とは異なり、基本的には家族が財産の管理を行うため、原則、ランニングコスト(継続的な費用)は不要で、最初に取り組む時の初期コストのみ必要になります。

家族信託を活用するにあたって最も大切なこと

家族信託は、今まで実現できなかったことに対応できることから、相続対策・認知症対策のイノベーションと言われています。

このような素晴らしい仕組みを有効に活用するためには、絶対的に満たさなければならないことが2つあります。

そのひとつは、財産を所有する人(親など)の判断能力がある時でないと取り組みできないということです。

高齢の親をもつ子世代の方で、家族信託を検討したい場合は、できるだけ早めに動くことが必要です。

私の両親はともに、認知症になりしたが、少し「おかしいな?」と思ったら、あっという間(2~3ヶ月程度)で、判断能力が低下してしまいました。

家族信託の取り組みにあたっても、いくつかの段階を踏む必要がありますので、専門家(家族信託コーディネーター等)に依頼してから、最短でも2ヶ月程度は必要になります。


判断能力があるかないかの見極めは、介護保険の要介護度や医師の鑑定などで一律に決まるものではなく、関与する専門家が本人の状況などを観察したうえで、見極めることになります。

あとになって「あの時動いておけばよかった・・・」という後悔をしないようにしていただきたいと思います。

もうひとつは、家族・親族間の合意、信頼関係です。

「家族信託」は、その名の通リ「家族」に「信じて財産の管理を託す」ことです。

信じて託すことができる家族や親族がいることが、重要な条件になります。

もしいない場合は、信託銀行などの「商事信託」のしくみや他の方法を活用を検討する必要があります。

そして、財産の管理を託される人(受託者)が、財産を託す人(委託者)から、信頼されていることは当然として、きょうだいなどの他の家族・親族からも信任を得ていることが必要です。

家族・親族間で、家族信託の取り組みについて、共有(シェア)されていることがとても重要です。

「家族信託」の取り組みにあたっては、関係者の合意を得るために、「家族会議」を開くことが必須であると考えています。

「家族会議」を飛ばして、「家族信託」を行うことは、将来のトラブルのタネになりかねません。

しかし、家族のなかのひとりが、「家族信託」のしくみや特徴、効果などを家族・親族に説明して合意を得ることは困難です。

専門家(家族信託コーディネーター等)のサポート(家族会議へ同席、司会進行、説明、議事録の作成等)が、あればスムーズに進めることができます。

年末年始にあたって

年末年始は、ご家族が集まる機会の多い時期です。

また、普段は仕事などが忙しくて、自分や親・家族の老後やその先の相続についてじっくり考える時間がとれない方も多いと思います。

年末年始は、家族の未来のことについて、じっくり考えたり、家族で話し合う時間を持つことができる大切な時です。

ぜひ、有効に活用していただきたいと思います。

本年は、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

よいお年を!

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