『相続』について、特に考えておく必要があるのは、こんな人・ご家族だ!その④
皆さま こんにちは!
老後のお金と相続の最初の相談窓口
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィスの寺田尚平です。
毎日、寒い日が続きますが、体調など崩していませんか?
寒いのも、あと少しの間ですから、お体大事にお過ごしください。
最近、当オフィスが開催するセミナーのなかで、20のチェックポイントを記載した『「相続」について考える必要性についてチェックしてみましょう!』シートを配布して、お客様にチェックしてもらっています。
20のチェックポイントについて、ブログにて、詳しく説明させていただいております。
今回は、その4回目です。
ご自身があてはまるチェックポイントがあった場合は、じっくり読んでみてください!
1回目、2回目、3回目のブログはこちらからご覧ください。
目次
不動産や自社株など分けにくい財産がある
相続する財産には、預貯金、上場株式、債券、投資信託、不動産、自社株などがあります。
そのなかで、換金することが困難だったり、換金するのに時間がかかったり、分けて所有することに適さない財産として、「不動産」と「自社株」があります。
「自社株」とは、自ら経営する会社の株式のことで、「自社株」のなかでも、株式市場で売買することができない未上場の株式が、相続において問題になります。
多くの中小企業の経営者の方は、「自社株」を保有されています。
自宅に代表される「不動産」は、多くのご家庭が保有されている財産です。
特に、財産全体に占める「自社株」や「不動産」の価値が大きい場合は、注意が必要です。
「キケン」な不動産の共有
不動産にまつわる相続トラブルが起こってしまう具体的な事例をお伝えします。
例えば、既に母親が他界し、父親がひとりで実家に住んでいて、長男、長女、次男の3人の子どもがいます。
近くに住んでいる長女が、父親のお世話をしています。
父親の財産は、実家(評価額:900万円)と預貯金(600万円)です。
この状態で、父親に相続が発生した場合、きょうだい3人のそれぞれの法定相続分は500万円ずつです。
きょうだいで、均等に分けるためには、まずは、預貯金を200万円ずつにわけることになります。
さて、実家をどうするかです。
選択肢として、実家をきょうだい3人で、3分の1ずつ共有持分にして、相続する方法があります。
不動産を共有で、保有する方法は、よく見られますが、とても「危険」な手段です。
その時は、いいかもしれませんが、将来に問題を先送りしているだけです。
将来、きょうだいなかの一人が、売却したいと言い出しても、他のきょうだいが賛成しないと売却することができません。
他人が、実家の3分の1の権利だけを買ってくれないですよね。
きょうだいでの行き違いやトラブルの原因になると思いませんか?
また、次の相続が発生した時に、それぞれのきょうだいの子ども達が、同じように共有で相続した場合、どうなるでしょうか?
きょうだい3人に、それぞれ2人ずつの子どもがいたら、6人の共有になることになります。
より一層、問題が複雑になると思いませんか?
不動産を相続する場合は、共有は避けるようにすることは、「鉄則」と言えます。
実家の「取り合い」と「押し付け合い」
先程の事例で、父親の面倒を看てきた長女が、実家に思い入れがあり、ひとりで相続したいと言い出したとします。
評価額900万円の実家は、長女が相続し、残りの預貯金600万円を長男と次男で300万円ずつ分けることになります。
金額面で、長男、次男が、長女に対して不満を持っても不思議ではありません。
しかし、長女は、長年父親の面倒を看てきたのだから、これくらいの差があっても当然と考えても不思議ではありません。
さて、どうしましょうか?
長女が、自分の預貯金から、200万円ずつ長男と次男に渡すという方法があります。
長女に400万円のお金を出せる余裕があればいいのですが、無理な場合は、話し合いは平行線になります。
それなら、お金に余裕のある次男が実家を相続して、長男と長女に200万円ずつ渡すということも考えられますが、実家に対して思い入れの強い長女が納得しません。
実家については、きょうだいの間で、金額的な面と感情的な面の両方から、「取り合い」になることが考えられます。
逆に、実家の「押し付け合い」も考えられます。
空き家になった実家を相続した後、売却や賃貸にだすことができればいいのですが、和歌山などの地方都市では、中心市街地であっても、難しいことも増えています。
仕方なく空き家のまま放置することになるのですが、固定資産税の負担、家の管理の問題などにより、思わぬ金銭的な負担を強いられることになります。
「不動産」が、「負動産」として重荷になってしまう事態です。
そのような事態を避けるために、きょうだい間で、実家を相続したくないという実家の「押しつけ合い」が起こってしまいます。
分けることが難しい自社株
未上場のオーナー経営者が、保有している自社株も換金することが困難な財産です。
例えば、長男などの後継者が、会社経営を引き継いでいくのであれば、自社株の大半を後継者が引き継ぐことが「鉄則」です。
後継者以外の子どもが、自社株の多くを保有している状態は、後継者の意思が経営に反映されないという不安定な経営状態に陥ることも考えられます。
業績が好調であったり、過去からの利益の蓄積の大きい会社の場合、売却することが困難であるにもかかわらず、自社株の評価額が想定以上の高額になることがあります。
そして、遺された財産のなかで、金額的に自社株の比率が高い場合、後継者と他きょうだいなどの相続人との金額的なバランスが問題になります。
このバランスを調整するために、相続財産のなかに、預貯金などの現金化しやすい財産があったり、別途、後継者が現金を用意できたらいいのですが、事前に準備しておかないと、そうもいかないことがあります。
自社株を巡るきょうだいの「相続争い」は、京都の老舗かばん店である「一澤帆布」さんの話は有名です。
オーナー経営者家族の自社株の「相続争い」は、家族だけの問題ではありません。
働いている社員、取引先など多くのところに、影響を及ぼす可能性があります。
オーナー経営者にとっては、自社株の相続問題は、避けては通れない問題であり、元気なうちに対策をしておくことは必須です。
まとめ
最後まで、お読みいただきましてありがとうございます。
実家を含む「不動産」や未上場のオーナー経営者が保有する「自社株」は、分けにくい財産の代表であり、多くの方が保有している財産でもあります。
生前、元気なうちに、どのように相続するかを考えておく必要性の高い財産です。
具体的な生前の対策として、遺言書の作成、生命保険や家族信託の活用などが考えらえます。
そして、対策を考えていくための第一歩が、現状の把握であり、資産の棚卸しです。
当オフィスでは、いつかはやっておいた方がいいと思いつつも、なかなか手を付けられない「ご資産一覧表」の作成などをお手伝いする「ご資産の健康診断サービス」をご提供しております。
ご関心のある方は、こちらをご確認くださいね。