「あるご家族の相続物語」～ その⑤ 胃が痛い・・・～
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィス
円満相続の道先案内人 寺田尚平です。
※登場人物についてはこちらからご確認ください。
「あるご家族の相続物語」始まります８月の中旬、弟、妹家族が帰省してきた。
予定通リ、母親ときょうだいで、両親のこれからのことやお金のことについて話し合う家族会議を行うことにした。
信彦さんは、まずは、父親が入院してからの経過を弟、妹に説明した。
父親の状態の変化、母親の生活の様子、父親の預金が出せなくなっていること、固定資産税やアパートの修理費用を出していること を説明した。
これについては、弟、妹は聞いているだけで、特に意見や質問はなかった。
次に、父親に入所してもらう老人ホームの候補について、3ヶ所の概要を説明して、費用負担が３つのうちで、真ん中のところにしたいことを伝えた。
また、懸案事項であった成年後見制度の利用については、父親の財産の管理を家族ではない他人、裁判所が勝手に決めた人物に任すことにどうしても納得できないことも伝えた。
老人ホームの入所費用などについては、当面は信彦さんの預金から出していくことを説明した。
以前から妹は、父親にはできるだけ快適なところで、と言っていたので、予想通り、費用負担が真ん中の老人ホームに入所させることに不満を表明した。
しかし、母親がとりなしてくれて、信彦さんの意向通リにすすめていくことになった。
信彦さんとしては、この会議に臨むにあたって、長男として、中心となって両親の面倒を看る必要があると思っている。
しかし、弟や妹がこれまでの経過や当面の費用を負担していくことについて、少なくとも理解しておいて欲しいとの気持ちがあった。
３人のきょうだいのなかでは、経済的には、２人の大学生と１人の高校生を抱える弟の家庭、大学生と高校生を抱える妹の家庭は、厳しそうだ。
それに比べて、まだ夫婦共働きで、両方とも教員、子ども２人は独立した信彦さんの家庭は、経済的の一番余裕があること明白であった。
家族会議では、とりあえず決めなければならない老人ホームのことは、話し合うことができた。
信彦さんは、将来の相続のことやアパートや青空駐車場のことについて、少し切り出してはみたものの、具体的な話し合いにはならず、昔の話をするだけで終わってしまった。
１ケ月後、父親が老人ホームに入所して、母親の負担は軽くなって、近所の友人と日帰りバスツアーに行くなど 少しずつ元気を取り戻していった。
１１月下旬を迎えた日曜日、信彦さんが実家に立ち寄ると、母親が昼間にもかかわらず、ふとんで休んでいる。
聞いてみると、胃に痛みがあり、吐き気がするとのことであった。
信彦さんの脳裏に嫌な予感が漂い始めた。
続きは次回のブログで・・・
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