金融は人を幸せにするのか?
皆さま こんにちは!
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィスの寺田尚平です。
連日、大賑わいの「大阪関西万博」もフィナーレを迎えました。
今年は昭和100年、戦後80年という日本にとっては節目の年です。
最近の政治、経済などの動きを見ていると、日本の様々な面で、なんとなく変化の兆しが見えてきているように感じます。
自分のことを振り返ってみると、今年は社会人になって40年目になります。
40年前に銀行に入行してから、ほぼ40年間、金融に関連する仕事に携わってきたことになります。
そんななかで「金融は人を幸せにするのか?」というブログを書きましたので、ご一読いただけたら有難く思います。
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目次
家族の幸せと住宅ローン
私は約40年前に地方銀行に入行しました。
まずは、その新入行員時代に経験したことをお伝えしたいと思います。
入行した8ヶ月ぐらいは預金係として事務を担当していましたが、その後、融資係になり、ローンなどの受付、申請書作成などの事務処理を担当することになりました。
そのなかで、住宅ローンの受付をすることになり、わかないことだらけの中で、お客様に何度も訂正印をいただいたり四苦八苦しながら、何とか無事に住宅ローンの実行を行うことができました。
その後数ヶ月経過し、私は融資係から渉外係(外回りの営業担当)になり、住宅ローンを実行したお客様のご自宅のある地区を担当することになりました。
お客様のご自宅に訪問する機会があり、訪問してみると、子ども達は嬉しそうにご自宅のなかで遊んでいる光景が目に焼き付きました。
小さなお子様がいるご家庭では、当たり前の光景です。
しかし、新しいご自宅で幸せそうに暮らしているご家族の様子を見ると、大学がでたばかりの何もできない自分ではありますが、住宅ローンを取り扱ったことで「このご家族の幸せにほんの少しでも貢献できたのではないか」という誇らしい気持ちになりました。
この経験が、銀行員を退職した後も独立系ファイナンシャル・プランナーとして、約40年にわたって、「金融」に関連する仕事を続けている原体験であると考えています。
23歳の独身男性への高額の死亡保険
同じく、新入行員時代の経験です。
外回りの営業担当である渉外係になった時、担当地区の前任の先輩から、お客様の引き継ぎを受けたのですが、当時、お客様のひとりに凄腕の生命保険のセールスレディがおられました。
先輩からは、営業成績のためには、そのセールスレディから生命保険を加入した方がいいとのアドバイスがあったため、純情(?)な私は、そのセールスレディから、言われるがまま生命保険に加入しました。
死亡保障額は5,000万円で、保険料毎月6万円程度であったと記憶しています。
保険料は団体扱いで、天引きされるため、給料振込額は6万円程度でした。
その後、結婚するにあたりさすがに手取り6万円では、無理ということで、その保険は減額しました。
36歳の時、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格取得のために、勉強をは始めてみて、生命保険の保障の考え方を知ったことで、当時23歳の独身の自分には、5,000万円もの高額の死亡保障が不要であったことを認識しました。
「何て無駄なことをしていたのだろう」という後悔の気持ちと、正しい金融知識を持つことの必要性を痛感しました。
そして、このようなことを多くの人々に伝えていくことが必要ではないかと考えたことが、現在の仕事に繋がっています。
顧客の幸せと利益を考えない金融
今年4月から、金融機関の営業担当者向けの雑誌「近代セールス」に、「新NISA活用提案術」のコーナーの連載コラムを担当させていただいております。
先日、送られてきた「近代セールス10月1日号」をぱらぱらめくっていると、目に留まる記事がありました。(P78Financial Voice フィナンシャル・ボイス)
顧客の幸せや利益を無視した、金融機関の目先の収益追求だけを目的とした、生々しい事例です。
(以下、引用)
事例②:顧客の将来を考えない住宅ローン
30歳に満たない若年夫婦への住宅ローンだ。夫婦の年収が各数百万円程度にもかかわらず、自己資金なしのフルローンで6000万円超の住宅ローンを実行してしまう。
収入のほとんどがローンの返済に充てられ、将来子どもが生まれたとたんに破綻する未来が目に見える。それでも「大口のローンを実行した」と称賛されているのだ。
事例④:過度な高レート型フリーローンの推進
フリーローンであるため、資金使途は他のローンに比べて基準が低い。保証料が含まれているとはいえ、融資利率は高く設定されているため収益源ととらえられている。
そうした中、自行庫で利用中のカードローンをフリーローンに借り換えさせ、再びカードローンの利用可能枠を増やすといっ融資が横行している。ゼロゼロ融資についても、リスケではなく当該高レートのフリーローンで借換えさせて返済期限を延長している事例も見受けられる。 (引用 終わり)
このような事例は、ごく一部の金融機関や担当者で行われているものと思います。
しかし、約1年前のブログ(「誰が信頼できるアドバイザーか?」)でも、ある保険代理店のひとりの顧客に対するの過剰までの保険販売の事例を紹介しています。(下記、リンクからご参照)
顧客の幸せな暮らしや利益を無視して、証券、保険やローンなどを提供する自社の利益のみを追求する、金融機関の姿勢には、ほとほと呆れてしまいます。
まとめ
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
金融の機能は、給与や年金振込等の資金の受取りや各種料金等の支払を行う「決済」、将来に向けて資金をプールして殖やしていく「貯蓄・資産運用」、万が一の事態に備えておく「保障」、必要な資金を調達する「借入・ローン」の4つがあります。
どの機能も、私たちが暮らしていくためには、避けては通れないものであり、幸せな暮らしを実現するための強い味方になります。
その機能を実現するための「手段」すなわち「道具」が「金融商品」や「金融サービス」であり、「目的」は、あくまでも「幸せ」を実現することです。
したがって、「金融商品」や「金融サービス」を提供する金融機関には、まずは顧客の幸せを考える役割があると思います。
しかしながら、金融機関では自社の収益を追求するあまり、一部ではあると思いますが、事実として、ひとりの顧客に過剰なまでに金融商品を販売したり、顧客の幸せを利益を無視した活動が行われています。
このような状況については、1日も早く改善されるべきだと思いますし、どんな時も金融が人を幸せに貢献する状況になって欲しいものです。
私は、金融商品を販売しない独立系ファイナンシャル・プランナーとして、微力ながら、ひとりひとりの幸せに貢献する金融機能、金融商品、金融サービスの活用をサポートしていきたいと考えています。