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2024年の振り返りと「103万円の壁」などの制度改正について

新年、あけましておめでとうございます。

Over50s専門 FP

ウェルビーイング・コンサルティング・オフィスの寺田尚平です。

2025年が始まりましたが、皆さまはどんな年末年始を過ごされましたでしょうか?

私は、和歌山県新宮市の妻の実家に2泊して、義父母の元気な様子をうかがうとともに、年末詣と初詣で、延べ11社寺に参拝しました。

ちなみに、最初に引いたおみくじが「大吉」でしたので、その後参拝した社寺では引きませんでした。

今年、義父は90歳を迎えますが、とても元気に暮らしておられ、ボランティア活動にも積極的に参加しており、あらためて「生涯現役時代」の到来を実感しました。

昨年の元日、『2024年に実現する4つの「変化」』というタイトルで、ブログを投稿していました。

その概要は、

 〇信じたモノはみんなメッキがはがれていく~♬

 〇「デフレ」から「インフレ」への変化

 〇「金利のない世界」から「金利のある世界」への変化

 〇「貯蓄から投資・資産形成へ」への変化

というものでした。

『2024年に実現する4つの「変化」』はここをクリック

2024年に実現した4つの変化についての振り返り、昨秋から話題になっている「103万円の壁」などの税制や社会保険制度の改革の概要などをまとめました。ご一読いただけら幸いです。

※写真は、世界遺産熊野本宮大社の旧社地「大斎原」にある日本一の大鳥居

目次

2024年も相次ぐ、大企業などの不祥事

2024年も、2023年と同様に大企業、公的機関などで多くの不祥事が発覚しました。

・小林製薬、紅麹関連製品による健康被害
・自動車業界で性能試験における不正
・金融庁出向中の元裁判官や東京取引証券所の社員などによるインサイダー取引
・野村証券の社員による強盗殺人未遂と放火
・三菱UFJ銀行の行員による貸金庫からの金品窃盗   などなど

昨年と同様に、政治家や大企業などの不祥事が露呈するようになったことで「権威あるもの」「大きなもの」に対する社会の信頼感が低下しています。

昨年は、私の仕事に近い金融業界では、組織的な不正ではなく、社員個人による不正が目立ちました。

不正の原因は、一義的には社員個人の倫理観の問題ではありますが、社員に不正を起こすような状況にさせてしまった組織の風土や体制にも問題があったのではないでしょうか?

今後、企業にとっては、社員が「働きがい」を持って仕事に取り組み、家庭においても「良い状態」が続くような、仕組みづくりが必要になるのではないかと感じます。

 

続く物価上昇!本格的なインフレ時代に突入か?

2024年11月の消費者物価指数(総合)の前年比は、2.9%の上昇となりました。

前年同月比で2%を超える上昇は、2022年4月以降32ヶ月続いており、もはや「デフレ」とは言い難く、本格的な「インフレ」の時代に突入したと言えそうです。

昨年のブログでは、インフレが続く要因として少子高齢化に伴う空前の「人手不足」をあげていましたが、今後、相当な規模で省力化、機械化が進展しない限り「人手不足」は継続することから、インフレは定着していく可能性は高そうです。

 

「金利のある世界」に向かう日本

2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を解除して、17年ぶりに利上げを実施しました。そして、7月に追加利上げを決めて、政策金利を0.25%に引き上げました。

12月の日銀の金融政策決定会合では、利上げは見送られましたが、物価上昇率が2%を超えていること、米国金利が高止まりすることによる円安傾向の継続が見込まれることから、緩やかなペースで利上げが行われるものと考えられます。

政策金利で0.25%の水準ですから、今のところ預金金利や借入金利への影響は限定的ではありますが、今後「金利のある世界」への変化が鮮明になるにつけて、影響が出てくる可能性があります。

 

「貯蓄から投資・資産形成へ」は不可逆的な流れに!

2024年1月に新NISAが始まったことを受けて、株式や投資信託を活用して資産形成を行う方が急増しています。

日本証券業協会の公表データ(大手証券10社ベース・2024年1月~9月)によると、前年の同期間と比べて、NISA口座開設件数は1.9倍、NISA口座での買付額は3.9倍となっています。

金融庁は長年「貯蓄から投資・資産形成へ」をスローガンとして、取り組んで来たにもかかわらず、なかなか動かなかった山がようやく動き出した感じです。

今後は、iDeCo(個人型確定拠出年金)の改正などの制度整備とともに、金融経済教育推進機構(J-FLEC)による、一層の金融経済教育や気軽に相談できる体制の拡充などの施策が進められており、「貯蓄から投資・資産形成へ」の不可逆的な流れになっていくでしょう。

今後の「103万円の壁」などの税制、社会保険制度の改革の概要

2024年12月に発表された「令和7年度税制改正大綱(自民党・公明等)」および「年金改正の検討事項(厚生労働省)」によると、税制や年金などの社会保険について様々な改正が検討されており、今後の国会審議などにより、明らかになってくるものと思いますが、現時点で把握できる主な改正のポイントをまとめましたので、参考にしていただけたら幸いです。

①所得税「103万円の壁」の引き上げ

会社員の夫を持つパートタイマーの女性などの働き控えの要因となっている、いわゆる「103万円の壁」に注目が集まっています。自民・公明両党は、2025年税制改正大綱に「103万円の壁」を123万円に引き上げることを盛り込みました。現行の所得税の基礎控除額を48万円から58万円に、給与所得控除の最低保証額を55万円から65万円に引き上げです。48万円+55万円=103万円を58万円+65万円=123万円です。国民民主党は、178万円までの引上げを主張しており、1月からの通常国会でどのような結論になるかは不透明な状況です。

②大学生年代の親向けの「特定親族特別控除」の創設

大学生のアルバイトが働き控えをする要因と言われている、特定扶養控除の年収要件について、大学生年代の子の合計所得金額が85万円(給与収入で150万円)までは、親が現在の特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除が受けられ、85万円を超えた場合でも親が受けられる控除の額が段階的に逓減する「特定親族特別控除」が新たに創設されることになりました。

③社会保険料「106万円の壁」の撤廃

現在、パートタイマ―などは①従業員数51人以上の企業に勤務②月額賃金が 標準報酬月額で8.8万円以上(年収106万円以上)③所定労働時間が週20時間以上などの要件を全て満たすと厚生年金と健康保険に加入する義務があります。この「106万円の壁」を撤廃して、週20時間以上働く人は原則として厚生年金と健康保険に加入するルールに改正する方向です。「106万円の壁」は撤廃されても、今度は週20時間の手前で、社会保険料の負担による手取収入の減少を嫌って働き控えが起こる「週20時間の壁」ができることになるのですが、労働者側の社会保険料負担を減らすために、企業が労働者の保険料を肩代わりする制度の導入が検討されています。

④働くシニアの年金減額を緩和

現在「在職老齢年金制度」により、給与と厚生年金の合計額が月50万円を超えると、受け取る厚生年金額が減額される仕組みになっています。この基準額を62万円か71万円に引き上げる方向で検討されています。

⑤高所得の会社員で厚生年金保険料の負担増加

現在、厚生年金保険料の算出に用いる「標準報酬月額」の上限が月収65万円に設定されていて、賞与を除く年収798万円以上の人は、年収に関係なく上限の保険料を負担しています。「標準報酬月額」の上限を75万円~98万円に引き上げる方向で検討されています。

⑥働く高齢者の控除280万円に

年金と給与の両方を受け取っている高齢者は、給与所得控除と公的年金控除の両方の控除額を収入から差し引くことができます。給与のみを受け取っている現役世代に比べて、控除額が大きくなり総収入に対する税負担は軽くなっています。そのため、控除額の上限を280万円に設定する方向で検討されています。

 

⑦個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金上限の引き上げ等

現状、iDeCoの掛金について、加入している年金制度により、上限が決めらていますが、自営業・フリーランスなどは、月7.5万円(国民年金基金等の掛金と合算で)<現行:6.8万円>、企業年金に加入していない会社員は、月6.2万円<現行:2.3万円>企業年金(企業型確定拠出年金、確定給付企業年金)に加入している会社員は、月6.2万円から、企業年金の掛金額を控除した額<現行:2.0万円>とすることで検討されています。また、掛金を拠出できる年齢の上限を65歳から70歳に引き上げられます。

まとめ

昨年、お伝えした4つの「変化」は、「権威があるから、大きいから大丈夫、間違いない、安心」「物価は上がらない」「金利は上がらない」「投資はやめといた方がいい」これまでの日本人の「価値観」や「常識」を覆すものです。

そして、昨年だけの一過性のものではなく、今後も続いていく流れであると考えます。

また、昨年末の公表された税制・社会保険制度の様々な改革が必要とされる背景には、少子高齢化の進展による年金不安、人口の減少に伴う企業の人手不足問題などが横たわっています。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2025年で「働き盛り」と言われている25~65歳の人口は約5400万人。「定年後」と言われている60歳以上の人口は約4400万人です。「働き盛り」の方が約1000万人多い状況です。

しかし、少子高齢化の進展により、11年後の2036年には「働き盛り」と「定年後」の人口は逆転して、さらにその後は差は開いていきます。

このような環境のなかで、個人にとっては「長く働くこと」と「お金にも働いてもらう」の二刀流の考え方が必要になるのでないでしょうか?

そのためには、生き方の指針となる「ライフデザイン」を描き、長く働く「キャリアプラン」をイメージして、「ライフプラン」や「資産形成・活用プラン」を立てること重要です。

また、企業にとっては、超人手不足時代を乗り切るためには、省力化設備などの導入を進めるともに、女性や高齢者が働きやすい職場環境、若者が「やりがい」を持って働ける環境整備が求められます。

このような社会経済環境のなかで、弊オフィスは、一人ひとりが「ウェルビーイング」を実感できる人生を送れるように、個人向け、企業向けともに「包括的」かつ「伴走型」の様々なサポートを行っていきたいと考えています。

◆【寺田尚平のプロフィール】はこちらから

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