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誰が信頼できるアドバイザーか?

Over50s専門 FP

ウェルビーイング・コンサルティング・オフィスの寺田尚平です。

10月から、和歌山市が主催している卓球教室に通い始めました。

学生時代に卓球の経験はあるのですが、ほぼ40年ぶりぐらいにやってみると、さすがに昔の感覚とは違う感じです。

この卓球教室には、60名程度の方が在籍していていて、多くは私より少し先輩の方々ですが、とても元気に卓球を楽しんでおられ、なかなかの腕前の方もいらっしゃいます。

ひそかな目標は、私が学生時代には存在しなかった技「チキータ」を決めることです。

最近の相談内容や読んだ本のなかで、印象に残ったことを中心にブログを書きましたので、ご一読いただければ幸いです。

目次

情報に踊らされてるなあ~

先日、セミナー講師を務めた後、参加され方から個別相談のご依頼がありました。

ご質問内容は、主に資産運用に関することでしたが、どこかで聞いたようなセールトークやフレーズ、つまり金融機関の担当者から受けたアドバイスや雑誌・YouTubeなどから得たと思われる情報について確認するものでした。

私は「情報に踊らされているなあ~」という印象を受けました。

その方は、その情報の言葉や文言の通り捉えられているのですが、その情報の意味や発信された意図、デメリット、他の選択肢などについて、理解されているようには思えませんでした。

それらの情報は間違いではないのですが、一面的で偏った情報であると言わざるを得ない面があります。

金融機関の担当者は、当然ながら自社の商品を販売することが目的でアドバイスをしていることから、その商品のメリットをしっかり伝えることが優先されます。

また、雑誌・YouTubeなどでの情報発信は「わかりやすさ」や「目を引くこと」が重視される傾向にあります。

したがって、その商品のデメリットや同様の効果が得られる他の商品との比較した説明などが十分にされていないことが多々あります。

また、お客様の資産配分のバランス、リスク許容度、ライフステージなどから総合的に考えて、その商品が適切どうかを判断する必要があります。

様々な情報が溢れている時代に、生活者が情報を取捨選択して適切に判断することの難しさを実感しました。

マネーセミナーのトラブル

保険業界の内実に迫ったドキュメント「損保の闇 生保の裏」(著者:柴田秀並 発行年:2024年 発行所:朝日新聞出版)という書籍を読みました。

昨年、話題になった「ビックモーター問題」や「カルテル疑惑」に係った損害保険会社、営業職員の巨額金銭詐欺が発生した生命保険会社などの内実が書かれていますが、私は衝撃を受けたのは「マネーセミナー」のトラブルの内容でした。

(以下、引用 「損保の闇 生保の裏」P208~P210『「公平さ」をうたう悪質さ』)
 関東の医療機関に勤める女性(32)は2016年、母親が亡くなり、多額の遺産を相続した。近しい親族はもう89歳の祖母だけ。管理は自分がやるしかない。ネットで検索して見つけた「マネーセミナー」に参加した。
「無料でお金のことを相談できるかな」
そう思って気軽に参加したのが大きな落とし穴だった。
「中略」
相続した財産から、外貨建ての変額保険2本(計4千万円)を一括払いで契約。死亡した際に多額の保険金を受け取るのはすべて祖母だった。
「プロが教えてくれたのだから、そういうものだろう」と思っていた。「長期の備えは整った」などとし、一括払いで契約した商品とは別に、今度は毎月支払うタイプの保険を次々と契約していった。

変額保険や医療保険、がん保険・・・。月額の保険料は最終的に33万円に上った。当時、自身の月収は22万円だった。月収を上回る保険料は、投資信託の毎月の分配金から支払えば良いとし、「それが複利効果だ」との説明を受けた。最初に一括払いの保険2本を加入した際、分配金がおりるタイプの投信の勧誘を受け、1300万円で購入していたのだ。

だが、その2年後。
投信の運用成績が振るわず分配金が減り、保険料の足りない分が預金口座から引かれるようになった。最後には、給与の多くが月々の保険料に抜かれていくようになってしまい、日々の生活を圧迫するようになった。
さすがに違和感を持ち、別の会社のFPに契約を見てもらい、告げられた一言に驚いた。
「あなた、売りたいものを売りつけられているよ」(引用終了)

この部分を読んだ時、私は強い怒りがこみあげてきました。

情報の非対称性(商品やサービスの売り手と買い手の間で保有する情報に格差があること)を利用して、自分達の利益のみを考えた、このような行為はあまりにも酷い。

特に、毎月支払うタイプの変額保険などの保険料が月収を上回るまで加入させたことや不足分を投資信託の分配金で補填することを「複利効果」だと言う、完全に誤った、自分達に都合のいいように解釈したアドバイスをしていることは、呆れてしまいます。

また、マネーセミナーの講師役は、ファイナンシャル・プランナー(FP)を名乗っていたということですが、
同じFPを名乗るものとして、憤りを覚えます。

金融機関(銀行、証券、保険など)や保険代理店などに所属するFPの場合、自社の金融商品や保険を売ることが目的です。

お客様の収入や資産、ご家族、ライフステージなどの様々な状況を把握して、適した商品やサービスを提案することに時間と手間をかけることはできず、すべてとは言いませんが、手っ取り早く自社の商品を売ることが求められることから、このようなことが起こるのは十分に考えられます。

信頼できるアドバイザーとは?

政府は、国民の「金融リテラシー」(経済的に自立し、より良い生活を送るために必要なお金に関する知識や判断力)を向上するために、金融庁所管の認可法人である「金融経済教育推進機構(J-FLEC)」を立ち上げ、2024年8月より本格的に稼働を開始しています。

具体的には「J-FLEC(ジェイフレック)」は、以下の事業を実施します。

①金融経済教育の機会を提供し、ライフプラン・家計管理・資産形成などの重要性を理解していただく「講師派遣(出張授業)、イベント・セミナー」

②1時間の無料相談体験を通じて、自分自身が取るべき具体的な行動を知っていただき、またお金に関するアドバイスの価値や意義を認識していただく『「J-FLECはじめてのマネープラプラン」無料体験(対面またはオンライン・電話)』(※対面相談は、2024年10月時点では、東京都のJ-FLEC事務所のみ)

③相談料の割引クーポンを配布することによって、実際にお金に関するアドバイスを受けるきっかけにしていただく『「J-FLECはじめてのマネープラン」割引クーポン事業』(※2024年秋以降、開始予定)

これらのセミナーの講師や相談を担うのが「J-FLEC認定アドバイザー」になります。

J-FLEC認定アドバイザー制度は、お金のことについて相談するにしても、信頼できるアドバイザーがどこにいるのか?わからない・・・という意見が多かったこと、金融機関等に所属しているFPなどに相談しても、自社の商品に誘導されるという警戒感を持つ人が多いなかで、国が信頼できるアドバイザーを見える化しました。

上記の②や③の相談を担うことができるのは、金融機関などに所属しておらず、相談経験が豊富なFPなどが認定されています。

まとめ

お金に関する様々な情報が、WebサイトやYouTube、SNSなどで溢れています。

ホテルなどで開催する、スイーツ付の保険代理店などが主催するマネーセミナーも盛んに開催されています。

このように、様々な情報が溢れ、複雑化する社会のなかで、生活者が何が自分にとって有益な情報なのかを取捨選択するハードルは高いと思われます。

このような背景のなかで、J-FLEC認定アドバイザー制度がスタートしています。

メディアや金融機関などの情報を単に鵜呑みにするのではなく、別の角度からの情報を収集するために、それぞれに合ったJ-FLEC認定アドバイザーを活用されてはいかがでしょうか?

私も、J-FLEC認定アドバイザーのひとりとして、期待に応えられるように、研鑽を積んでまいります。

 

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