「あるご家族の相続物語」その⑥～棚からぼた餅は・・・～
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィス
円満相続の道先案内人 寺田尚平です。
※登場人物についてはこちらからご確認ください。
「あるご家族の相続物語」始まります！翌日の月曜日、信彦さんは、急遽休みをとって、母親を大学病院に連れて行った。
その後、様々な検査を行った結果、母親は末期のがんであり、余命６ヶ月ということを伝えられた。
母親は入退院を繰り返しながら、過ごしましたが、最期は病院のベットのうえで、信彦さんと妹、信彦さんの妻、長女に見守まれながら、旅立って逝った。
最終局面での延命治療の方針について、信彦さんと妹で意見の食い違いによるちょっとした言い争いがあって、その場にいた家族にとっては、気まずい雰囲気が漂う時間となった。
「どうも妹とは、馬があわない・・・」という言葉が、信彦さんの頭に何度もよぎった。
葬儀が終わった８月上旬の土曜日、信彦さんは実家の片づけを行っていると、箪笥の引き出しのなかから、古びた封筒がでてきた。
その中身は、相続税の申告書の控えが入っていた。
それは、平成２１年３月に他界した母親の父、信彦さんの祖父の相続税申告書の控えだ。
その内容を見てみると、母親は祖父から株式を相続したことが記載されていた。
さらに、箪笥のなかを探してみると、証券会社２社から送付されてきている郵便物を発見した。
株式の数銘柄の時価評価の合計額は、８０００万円程度になりそうだ。
信彦さんは、少しウキウキするような気持ちを抑えながら、さらに調べてみると、父が死亡した時は、リーマンショックによって株価が下落していた時期であり、２６００万円程度で相続したものが、株価の上昇により３倍近くになったことがわかってきた。
母親の財産は、年金の振り込まれる預金とほんの少しの定期預金だけと聞いていた。
株式を持っていることなど 全く聞いていなかった。
母親は、どうして株式があることを言わなかったのか、なにか考えがあったのだろうか、それとも単に忘れていたのだろうか・・・
今となっては知ることはできない・・・という何となく哀しげな気持ちになってきた。
とりあえず、預金や株式の名義変更・払い出しに必要な戸籍謄本等の書類を銀行や証券会社に確認して、集めることから始めた。
しかし、信彦さんは、ここで２つの問題にぶち当たることになる。
亡くなった母親の相続人のひとりである父親に判断能力がないため、父親の成年後見人を立てて、母親の財産をどのように分けるかという話し合いを行う必要があることが判明した。
父親が認知症によって判断能力が低下した時から、他人に父親の財産の管理を任すという成年後見制度の活用については、避けてきたが、利用せざるを得ない状況になってしまった。
また、母親の財産を子どもが相続した場合、相続税がかかる可能性があることがわかってきた。
続きは次回のブログで・・・
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