「お子さまのおられないご夫婦」の相続はどうなる?
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィス
円満相続の道先案内人 寺田尚平です。
4月29日のブログのなかで、こんな人が、相続で困り事が起こる可能性の高いということをお伝えしましたが、その内容を掘り下げて、なぜ困り事が起こるのかについてお伝えしたいと思います。
4月29日 ブログまずは、「お子さまのおられないご夫婦」です。
皆さま、ご存知の通リ、財産を相続する権利のある人(相続人)は、法律で定められています。
配偶者は常に相続人になり、第1順位の相続人は子、第2順位の相続人は親、第3順位の相続は兄弟姉妹になります。
例えば、お子さまのおられないご夫婦で、夫が他界した場合、配偶者である妻は相続人です。
既に、夫の両親や祖父母などが他界している場合は、第1順位、第2順位の相続人がいないことになりますので、第3順位の相続人である夫の兄弟姉妹が相続人になります。
つまり、相続人は、妻と夫の兄弟姉妹です。
そして、夫の兄弟姉妹のなかで、夫より先に他界している人がいた場合、その兄弟姉妹の子が相続人になります。
夫からみると、甥・姪になります。
もし、夫が遺言書を残していない場合は、妻は、夫名義の預貯金や自宅の名義を自分の名義に変更するためには、夫の兄弟姉妹や甥・姪の了解を得て、各種書類に、署名や印鑑を押してもらう必要があります。
もし、相続人に該当する夫の兄弟姉妹や甥・姪の人数が、5人とか10人になること、妻が一度も会ったことのない人がいる、住んでいるところが全国各地の散らばっている、なかには海外にいる人もいる などの場合は、名義変更の手続に大変な労力がかかる可能性があります。
妻が夫よりも先に他界するケースも同じことになります。
このように、お子さまのおられないご夫婦の場合、片方の他界後、遺された連れ合いの生活のために、その財産を活用したいと思われる方も多いと思います。
そのためには、兄弟姉妹などの了解が必要になります。
場合によっては、相続手続きに大変な労力が必要になったり、なかにはすんなり了解してくれない人がでてきたりします。
そのためには、生前のお互いに遺言書を作成するなどの対策を行うことが必要です。
お子さまのおられない夫婦の場合、もうひとつ考えておかないといけないことがあります。
それは、おふたりともに他界した後の最終的な財産の行き先です。
先に、夫が他界するケースで、夫の全財産を妻が相続し、次に妻が他界した場合、妻の財産は、既に妻の両親や祖父母などが他界していれば、妻の兄弟姉妹が相続することになります。
もし、夫の財産のなかに、夫の先祖代々から受け継いだ財産がある場合、その財産が、妻の家系に受け継がれていくことになります。
様々な考え方や事情があるので、一概にこれが問題であるとは決めることはできませんが、先祖代々の財産が妻の家系に流れていくことに対して、違和感を持つ方もいらっしゃいます。
この問題を解決するための方法として、相続の「つぎのつぎ」まで指定できる家族信託を活用することが考えられます。
また、認知症などで介護が必要になった場合、誰に面倒を看てもらうかということも考えておく必要もあります。
いずれにしても、お子さまのおられないご夫婦は、老後や相続について、十分な対策を検討しておくことは必要です。
相続の相談については、こちら👇から ご確認ください。
相続の相談がしたい