親の認知症が心配な方へ 親の認知症は「介護」だけではなく「相続」にも関係していますよ!
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィス
地域密着型相続コンサルタント 寺田尚平です。
私(56歳)と同年代の人達と話していると、親の認知症のことなどが話題
になることが増えています。
50代、60代の方々にとっては、親の認知症は、決して他人事ではない問
題です。
そして、最近は、相続に関する困り事のひとつとして、認知症が関係してい
るケースが増えています。
例えば、父と母、長男、長女のご家庭で、父が亡くなった時点で、母が認知
症になっており、父の遺産分割協議に影響を与えるというケースです。
亡父の相続人は、母、長男、長女で、父の財産をどのように分けるかという
話し合い 遺産分割協議は、3人で行うことになります。
しかし、母が認知症になっていて、意思能力がない状態では、遺産分割協議
を行うことができません。
そのような場合は、家庭裁判所に成年後見開始の申出を行い、「成年後見人」
を選任してもらう必要があります。
選任された成年後見人が、他相続人とともに、遺産分割協議を行うことにな
ります。
成年後見人は、親族や弁護士、司法書士などの専門家が選任されます。
このケースで長男が、成年後見人に選任された場合でも、亡父の遺産分割に
関しては、母と利害が対立しますので、さらに特別代理人を選任する必要が
あります。
特別代理人は、利害が対立しないと考えられる親族や専門家が選任されるこ
とになります。
![](https://wellbeing-wakayama.com/wp-content/uploads/2019/03/038325a07c5e242a1552ca6d4a80a115_s-1.jpg)
成年後見人の役割は、母の権利を守ることですから、遺産分割協議において
は、原則、法定相続分である二分の一を母の相続分として、最低限確保する
ことが求められます。
遺産分割協議は、相続人全員が納得すれば、どのような分け方をしても構い
ません。
分け方が決められていないということは、それぞれの親族にとって、最も適
した分け方ができるということです。
しかし、成年後見人が登場することになると、母の法定相続分の確保が優先
されることになり、亡父の遺産について、最適な分け方ができなくなる可能
性があります。
もし、母自身が相応の財産を所有しており、今後の生活においても、亡父の
遺産をあてにする必要がなくて、亡父の遺産は、長男、長女がすべて相続す
る方が最適と思われる場合においても、認められない可能性があります。
相続税のかかる方は、母が二分の一以上相続することが、税金面から見て、
最適な分け方とは言えないということも発生することがあります。
このように、成年後見制度については、相続の様々な問題について、柔軟に
対応できない面があります。
このケースでは、親が認知症になる前に、遺言書の作成や民事信託(家族信
託)などの対策を行っておけば、不自由な遺産分割を防ぐことができたもの
と考えられます。
したがって、生前に相続争いを未然に防ぐ「遺産分割対策」や「相続税対策」
とともに、「認知症対策」の必要性が高まっています。
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