相続によって‟資産が眠る”のを防ぐ!~政府 土地の相続登記義務化を検討~
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィス
地域密着型相続コンサルタント 寺田尚平です。
法務省は、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動
産登記法を改正する法案を2020年の臨時国会に提出したいと考えていま
す。(日本経済新聞 2月8日 夕刊)
今後、法制審議会で内容が議論されるようですが、その内容のポイントは
- 相続登記の申請の義務化
- 遺産分割協議の期間の制限
- 土地の所有権の放棄を認める制度の検討
- 土地ごとに相続財産管理人の選定 の4点になります。
不動産登記簿などから所有者が、すぐに分からなかったり、判明しても連絡
がつかなかったりする所有者不明の土地は、民間の土地取引・利用を妨げて
いるひとつの要因になっています。
民間の有識者の研究会の推計によると、所有者不明の土地は全国に約410
万ヘクタールあり、九州の面積を上回る規模になっており、高齢化の進展に
より、今後も増えていくものと考えられます。
所有者を探す費用や公共事業の遅れなどの経済的な損失額は、2016年ま
でに、6兆円にのぼるものと言われています。
現在は、相続発生後の土地などの名義の変更手続は任意であり、登記するか
どうかは相続人の判断に任されています。
ただし、亡くなった名義のまま、長年放置したままにしておくと、将来誰が
権利を持っているのかわかりにくい状態になったり、いざ売却や賃貸する場
合に、大変な労力や時間がかかったりすることが懸念されます。
このような背景から、法務省は、相続発生時の登記の義務化や登記をしなけ
れば、罰金などを科すことも検討しています。
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また、相続人同志が財産をどのように分けるか決める期間に、制限を設けて、
相続発生から一定期間が経過すれば、法律によって自動的に権利が決まるよ
うにすることも検討しています。
現在は、相続税の申告などのために必要な場合を除いて、相続人同志で、財
産をどのように分けるかという話し合いで決める期間については、制約はあ
りません。
このように、相続発生後の話し合いなどの長期化や揉めることにより、放置
されたままの土地などが増えることは、経済的な機会の損失に結びつきます。
相続などが原因で、長年放置された状態になっている、私が以前に担当したお
客様の土地があり、その土地の前を車で通る時は、いつも心が痛みます。
相続に関するトラブルにおいては、自宅を含めた不動産が絡んでいることが
圧倒的に多く、生前の相続への備え・対策では、不動産をどのように遺すか
ということが重要なポイントになります。
相続人が遺してくれた資産を時代に合わせて、可能な限り有効に活用してい
くという観点からも、生前の相続への備え・対策の必要性が高まっていると
考えています。
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