「真の顧客ファースト」とは?
皆さま こんにちは!
50代からの「お金」と「仕事」の総合戦略プランナー
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィスの寺田尚平です。
先日、私が所属している証券や保険の販売による手数料収入に頼らず、お客様からいただく相談料などを中心にしたサービスを展開する、顧客本位のファイナンシャル・プランナー(FP)が集まる「日本FPアドバイザーズ協会」のセミナーでお話しさせていただきました。
題して「55歳からの独立系FPへの挑戦」
独立した経緯、独立向けての葛藤、迷い、失敗・・・経験談とあわせて、独立系FPが果たせる役割についてお話しました。
そのなかで、FPとして独立しようと考えたきっかけをお伝えしました。
『私は、36歳になったお正月に、書店をぶらぶらしている時にFPという資格があることを知り、何かの役に立つかもしれないと思い、軽い気持ちで資格取得に向けて勉強を始めました。
いざ勉強を始めてみると、「目からウロコ」だらけでした。
一般の方から見れば「銀行員なら、お金に関することは、大概のことは知っている」と思われている方もおられるのですが、「保険」「年金」「投資」「不動産」「税金」「相続」など、全く何も知らない自分がいることを気づかされました。
そして「もっと早く知っていたら、自分の人生も違うものになっていたかもしれないのに・・・」という後悔の気持ちを持つようになり、自分と同じように後悔する人を失くすためにも、これらの知識を多くの人に伝えていくことが必要ではないかと考え、将来はファイナンシャル・プランナーとして独立したいと思うようになりました。』
以上、私がFPとしての独立を考え始めたきっかけですが、あらためて、FP(ファイナシャル・プランナー)について、ブログにまとめてみましたので、よろしければご一読ください。
書籍『50代からの「お金」と「仕事」~ウェルビーイングな人生を~』を出版しました!
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目次
FPとしての実力の目安となるFP資格
ファイナンシャル・プランナー(FP)と名乗るために、特別な資格は必要なく、誰でも「FP」を名乗ることができます。
しかし、一般の方が大事なお金の相談する相手として、ふさわしいかどうかを見極めるためには、何らかの判断基準が必要ですよね。
まず、最初の判断基準として「資格」の有無があると思います。
FP資格には、2つの種類があり、国家資格である「FP技能士」と民間資格である「AFP・CFP🄬」があります。
「FP技能士」を取得するには、厚生労働大臣の指定を受けたNPO法人日本FP協会と金融財政事業研究会の2団体が実施する「FP技能検定」に合格する必要があります。
「3級」「2級」「1級」の三段階の資格がありますが、「3級」は、ご自身の知識向上のために受験される、一般の方もおられます。
お笑い芸人のサバンナ八木さんがFP技能士1級、俳優の藤木直人さんがFP技能士2級を取得されています。
FP技能士資格は資格の有効期限はなく一度取得すれば、知識やスキルのブラッシュアップをしなくても、いつまでも「FP技能士」を名乗ることができます。
資格取得後に、継続的に講習を受講したり、会費などを負担する必要はありません。
銀行や保険会社などに所属しFPを名乗っている人は、FP技能士だけを保有していることが多い傾向にあります。
「AFP(アフェリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)」と「CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)」は、日本FP協会が認定する資格です。
AFP資格は、FP技能士2級の保有者が、AFP認定研修を受講することで取得できます。
AFP資格の上位資格であるCFP資格は、3年以上の実務経験があるAFP認定者が、6科目の試験に合格することで取得できます。
「FP技能士」とは異なり、どちらの資格も2年毎に更新が必要であり、資格更新をする場合、研修などを受講して、常に最新の知識にブラッシュアップをしていくことが求められます。
最近は、年金などの社会保険制度、税制などの改正が目まぐるしく行われるので、常に知識をブラッシュアップしているFPの方が安心できますよね。
特にCFP資格は、北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心に世界25カ国・地域で導入されている、「世界が認めるプロフェッショナルFPの証」で、FPの頂点とも言えるものです。(日本FP協会 ホームページより)
皆さまの周りでFPと名乗る人がいたら、まずは、どのような資格を持っているのかを確認してみてはいかがでしょうか?
企業系FPと独立系FP
FP資格保有者は、大きく「企業系FP」と「独立系FP」という2つ分類することができます。
「企業系FP」は、銀行、証券会社、保険会社などに所属して、株式や投資信託、保険などを販売することを仕事としています。
FP資格取得で身につけた知識などを活用して、証券や保険などの販売を行っています。
「保険のことならFPに相談するなら、マネードクター」というフレーズを、女優の広瀬すずさん出演のテレビCMで見た人もおられるかもしれません。
これは、保険代理店「マネードクター」を運営する株式会社FPパートナーズのCMであり、「マネードクター」の所属するFPは、企業系FPという立場です。
「独立系FP」は、金融機関などに所属しない立場のFPです。
さらに「独立系FP」の中でも、2つタイプに別れます。
ひとつは、金融機関などに所属していないけれど、証券会社や保険会社から業務を委託されていて、証券や保険などを販売しているFPです。
もうひとつは、証券会社や保険会社から業務委託されておらず、証券や保険などを販売しないFPです。
証券や保険などを販売を業務としているFPは、証券や保険などを販売することで収入を得ているため、お客様からの様々な相談に対しては、基本的には無料で対応しています。
証券や保険などを販売しないFPは、基本的には有料で相談を行います。
無料相談がいいか、有料相談がいいかは、それぞれの考え方があると思いますが、証券や保険などを販売しているFPは、どうしても自社の商品販売を優先したアドバイスや提案になりがちです。
独立前の私は、銀行で企業系FPとして仕事をしていました。
自分の成績のことを考えると、お客様のニーズよりも、自社の商品販売を優先したアドバイスや提案にならざるを得ないことを数多く経験しています。
その度に、何となく気持ちが悪い、すっきりしない感情を抱くというストレスを感じていました。
今は、証券や保険などを販売しない立場で、お客様のニーズに合った、アドバイスや提案ができるので、ノンストレスで業務ができています。
証券や保険などを販売するFPでは、「真の顧客ファースト」を実現することは難しいと考えています。
事実、保険募集人の一部には、次のような行き過ぎた事象も発生しています
金融庁、「マネードクター」に改善命令へ 保険代理店大手、不適切推奨か
「良い嘘ならOK」…「外資系生保」の異常な“洗脳教育”と「代理店営業」の“手数料詐欺”を防げない実情【現役トップ保険営業マンが語る「保険業界の闇」】
「専門医」と「かかりつけ医」
では、FPとはどのような仕事をする人なのでしょうか?
日本FP協会のFPテキストなどから要約すると「ファイナンシャル・プランニング」と「ファイナンシャル・プランナー(FP)」について、次のように定義されています。
■「ファイナンシャル・プランニング」とは?
個人や家族の将来の夢や目標を実現するために、収入・支出、資産・負債、保障・補償などのデータを集めて、必要に応じて専門家の協力を得ながら、住宅取得プラン、教育資金プラン、老後資金プラン、金融資産運用プラン、不動産運用プラン、税金対策、相続・事業承継プランなどを立案し、そのプランを実行し、見直しをすることです。また、企業経営者や個人事業主の場合は、企業の資産運用、資金調達などに関する分野も対象に入ってきます。
■「ファイナンシャル・プランナー(FP)」とは?
ファイナンシャル・プランニングを行う専門家であり、総合的な生活設計プラン(ライフプラン)を立案し、必要に応じて弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、不動産会社、金融機関などの協力を得ながら、その実行・見直しをサポートします。
さらに、FPには他の専門家等とは異なる2つの特徴があります。
第1は、お客様の将来の夢や目標、望まれる未来を実現することが目的であるということです。
とにかく、資産が殖えることだけを目的とする「投資アドバイザー」とは異なり、FPは、お客様が、今の未来も安心して希望する暮らしができるようにサポートすることを目的としています。
第2は、総合的・包括的なアドバイスや提案を行う点です。
お客様が望まれる未来を実現するためには、金融商品、保険、不動産、税金、年金、ローンなどの幅広い知識や、その前提になる金融や経済に関する知識が要求されます。
お客様の考えや価値観などを配慮しながら、幅広い分野にわたる総合的・包括的なアドバイスや提案を行うことを目指しています。
「総合的・包括的」という点が、税理士、弁護士、金融や不動産の専門家などのある特定分野に特化した専門家とは、最も異なる特徴です。
医療の分野に例えると、税理士、弁護士、金融や不動産の専門家は専門医であり、大病院の専門分野ドクターのイメージです。
FPは、近所の「かかりつけ医」であったり、TBSテレビの日曜劇場「19番目のカルテ」(日曜・21時)で、松本潤さんが演じている「総合診療医」のイメージになります。
弊オフィスも、必要に応じて、弁護士、税理士、司法書士、社会保険労務士、不動産会社などと連携して業務を行っています。
FPの最大の特徴が、総合的・包括的なアドバイスや提案を行うことですので、証券や保険などの個別分野だけのアドバイスや提案を行うことは、FPの業務とは言えないと考えています。
総合的・包括的で適格なアドバイスや提案を行うためには、お客様に関する様々なデータを収集し分析したうえで、アドバイスや提案を行います。
FPは、このデータ収集、分析、アドバイスや提案の検討に時間と労力を費やすことになります。
証券や保険などの販売を目的としている企業系FPなどは、ここに時間と労力を費やすことは困難です。
多分「そんなことに時間をかけずに、1件でも多く販売して来い!」と上司に怒られてしまいます。(私は元企業系FPだったので十分に想像できます)
また、一般論ではなくお客様の個別の相談、例えば「このような状況で、私はどうしたらいいのでしょうか?」などの問いかけに対して、すぐに断定的なアドバイスや提案を行うことは、様々な検査をせずに、薬や注射を打つドクターと同じであると考えています。(そんなドクターはいないと思いますが・・・・)
まずは、十分な検査(データ収集や分析)を行ったうえで、最適なアドバイスや提案を行って欲しいですよね。
だから、FPは、データ収集、分析、アドバイスや提案の検討、提案内容の実行サポート、その後のフォローや見直しを行って、「真の顧客ファースト」が実現できるのです。
「J-FLEC 認定アドバイザー」とは?
昨年4月、国民、一人ひとりが描くファイナンシャル・ウェルビーイング(※)を実現し、自立的で持続可能な生活を送ることのできる社会づくりに貢献することをミッションとする、金融庁の所管の認可法人の「金融経済教育推進機構(J-FLEC)」が設立されました。
※ファイナンシャル・ウェルビーイング
自らの経済状況を管理し、必要な選択をすることによって、現在及び将来にわたって、経済的な観点から一人ひとりが多様な幸せを実現し、安心感を得られている状態
J-FLEC(ジェイフレック)は、全国の企業や学校等にJ-FLEC講師を派遣し、金融経済に関する出張授業(無料)を展開するとともに、J-FLEC認定アドバイザーによる有料の個別相談をはじめて利用する方を対象に、相談料の一部を補助する制度を実施しています。(J-FLECはじめてのマネープラン 割引クーポン配布事業)
J-FLECでは、国民の金融経済や金融商品などに関する知識を出張授業などで高かめるだけでなく、個別相談に対応する外部のアドバイザーの活用を推奨しています。
「J-FLECはじめてのマネープラン割引クーポン配布(はじまねクーポン)」の対象となっているアドバイスや提案は、上記のFPが行う総合的・包括的なアドバイスや提案になります。
金融機関などに所属しない、証券や保険などを販売しない立場の「J-FLEC認定アドバイザー」から、この「はじまねクーポン」を利用して、アドバイスや提案を受けることができます。
全国で1,290名(2025年6月末)が、認定アドバイザーとして認定されています。
この認定アドバイザーうち、CFP資格者は626名(48.5%)、AFP資格者は268名(18.7%)、FP技能士241名(18.7%)を占めており、FP資格保有者が88%を占めています。
J-FLECでは、「はじまねクーポン」を利用した、認定アドバイザーの有料相談を受けた方の主な感想を公開しており、以下のような内容になっています。
【主な感想】
・ 老後のことをひとりで悩んでいました。今回の相談で、現状の家計の点検と把握、今後のライフプランなどについて適切なアドバイスをいただけたことで、問題点を明確化でき、不安がなくなりました。本当に相談して良かったです。
・ 相談を通じて「自分たちが欲しかった気づき」を的確に得ることができました。
・ お金の知識があまりない私たち夫婦だけでは話し合いが難しく、対立してしまうことも多く悩んでいました。今回、アドバイスをいただいたことで、夫婦で協力し合えるようになり本当に相談してよかったと感じています。漠然とした不安を手放せたことで、これからの人生をより前向きに、楽しく過ごせそうです。
まとめ
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
「FP」と聞いたら、「保険」「投資」「家計管理」をイメージする人も多いと思います。
しかし「お客様の将来の夢や目標、望まれる未来を実現すること」を目的として、「保険」「投資」などを含む幅広い分野の「総合的・包括的」なアドバイスや提案を行うことがFPの仕事であり、他の専門家にはない特徴です。
FPの様々な特徴などを理解したうえで、あなたの人生をより豊かなものとするために、FPの活用を検討されてはいかがでしょうか?