サッカーワールドカップでの日本の躍進と「資産所得倍増プラン」
皆さま こんにちは!
Over50s専門 FP
ウェルビーイング・コンサルティング・オフィスの寺田尚平です。
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サッカーワールドカップで、日本代表が優勝候補のドイツ・スペインを撃破した話題で盛り上がっています。
サッカーと言えば、ブラジル、アルゼンチンなど南米諸国、ドイツ、フランス、スペインなどの欧州諸国の強さが際立っており、日本は発展途上という認識ですが、今回の活躍は、サッカー先進国への仲間入りを予感させるものでした。
1993年Jリーグスタート、同年の「ドーハの悲劇」、1998年フランスワールドカップ初出場、その後5回連続のワールドカップ出場を経て、ようやく世界から認められる位置まで来ました。
これは偶然の結果ではなく、長年の日本サッカー協会を始め、多くの関係者の仕組みづくりや努力が実ったものだと思います。
政府は、11月28日、新しい資本主義実現会議を開き「資産所得倍増プラン」を決定しました。
「資産所得倍増って、どういうこと?」って思われる方の多いのではないでしょうか?
「資産所得倍増プラン」は、「資産形成」に関して発展途上にある日本が、欧米諸国並みの「資産形成」の先進国となり、国民が豊かさを実感できる国になることを目的とするための仕組みづくりの方向性を示したものです。
今回のブログでは、公表された資料を基に、私見も織り交ぜながら「資産所得倍増プラン」の概要について、お伝えします。
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目次
「資産所得倍増プラン」が策定された背景とその目標
まずは、そもそも「資産所得倍増プラン」が策定された背景からお伝えします。
日本の家計金融資産2,000兆円の半分以上は、ほとんど金利のつかない預貯金等で保有されており、年金・保険等を通じた間接保有を含めても、株式・投資信託・債券に投資しているのは244兆円にとどまっています。
家計金融資産のうち、米国においては約45%、英国は約36%が、株式・投資信託などで保有されています。 (年金・保険等を通じた間接保有を含む・2015年末・金融庁作成資料)
米国や英国では、普通の人でも気軽に株式・投資信託に投資できる環境が整備されており、20年間で家計金融資産が米国では3.4倍、英国では2.3倍になっていますが、日本では1.4倍に留まっています。
このような状況から、政府は家計の勤労所得(仕事による所得)に加え、金融資産所得も増やしていくためには、多くの普通の人が気軽に投資できる環境を整備していくこと重要であると認識しており「資産所得倍増プラン」の策定に至りました。
「資産所得倍増プラン」の目標として、以下の3点が掲げられています。
①投資経験者の倍増を目指すために、5年間で、NISA総口座数(一般・つみたて)を現在の1,700万口座から3,400万口座へと倍増させること。
②投資金額の倍増を目指すために、5年間で、NISA買付金額を現在の28兆円から56兆円と倍増させること
③上記の目標の達成を通じて、国民の安定的な資産形成を実現するため、長期的な目標として資産運用収入そのものを倍増を見据えた政策対応を図る。
「資産所得倍増プラン」は、発展途上にある日本人の「資産形成」を欧米諸国並みに高めていくことを目指して、とりあえずは、NISA口座の拡大を図っていくことを目標としています。
「資産所得倍増プラン」の7本の柱
金融庁の調査によれば、投資未経験者が投資を行わない理由として多いのは、第1位「余裕資金がないから」、第2位「資産運用に関する知識がないから」、第3位「購入・保有することに不安を感じるから」となっています。
この調査の結果を踏まえて、「資産所得倍増プラン」では、小口の投資も可能であることや長期積立分散投資の有効性が幅広く周知するとともに、NISA制度などを簡素で使いやすい制度とすること、知識不足の解消や不安の払拭に向けて家計の金融資産形成を支援するために、消費者に対して中立的で信頼できるアドバイザー制度の整備が必要であるとしています。
具体的な取り組みとして、以下の7本柱を掲げています。
①NISAの抜本的拡充や恒久化
②加入可能年齢引き上げなどのiDeCo(イデコ)制度の改革
③消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設
④雇用者に対する資産形成の強化
⑤安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実
⑥世界に開かれた国際金融センターの実現
⑦顧客本位の業務運営
⑥については、多くの個人の方にとっては直接的には関わりのないことですので説明は省略します。
①と②、すなわちNISA、iDeCoの拡充については、上限金額のアップなどで、より使いやすい制度としていくもので、今までの政策をさらにブラッシュアップするものです。(NISAについては、12月中旬の発表される税制改正大綱にて、その概要が明らかになる予定です)
また、⑦の顧客本位の業務運営については、従来から銀行、証券会社、保険会社などに、自社の利益を優先するのではなく、顧客の最善の利益を追求するように指導してきたことを、さらに強化していくものです。
今回、新しく示された取り組みは、③消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設、④雇用者に対する資産形成の強化、⑤安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実 になります。
中立的で顧客本位なアドバイザーと金融経済教育
7つの取り組みのなかで、新らしく示された取り組みの3つ、③消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設、④雇用者に対する資産形成の強化、⑤安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実は、資産形成に関する消費者の知識不足を補い、消費者側に立ったアドバイスが提供できる環境を整えるものです。
資産運用を行わない理由としては、4割の人が「資産運用に関する知識がない」ことを理由に挙げており、国民全体に金融経済教育を届けていくことが重要であるとしています。
現状、金融や経済に関するセミナーなどの担い手の多くは、特定の商品販売を目的とした銀行、証券会社、保険会社等であり、消費者にとって警戒感や抵抗感があるものです。
また、個別のアドバイスについても、主に銀行、証券会社、保険会社等の担当者がに担っていますが、多くのアドバイスは、自社の商品購入等をすすめることが目的としており、多くの消費者からの信頼を得ているとは言い難い状況です。
このような状況から、金融機関等に所属せずに、金融商品などの販売を行わない、中立的な立場からアドバイスを提供できるアドバイザーを認定する制度を創設することになりました。
中立的なアドバイザーを認定し、継続的に中立的なアドバイザーが、顧客本位で良質なアドバイスを広く提供できるように、新たに「金融経済教育推進機構(仮称)」が設置されます。
「金融経済教育推進機構(仮称)」は、国民に顧客本位で良質なアドバイスを広く提供できるように、中立的なアドバイザーの認定・育成・告知などを行うとともに、中立的な金融経済教育を行う主体としての機能も持ち、国民の金融経済に関する知識の向上のために、主体となって、消費者向けのセミナーなどを開催していくものと考えられます。
まとめ
私の想像ではありますは、金融庁は20年以上前から「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」というスローガンを掲げて、そのための重要な役割を銀行、証券会社などに担って欲しいと考えてきたと思います。
そして、数年前から、自社の収益よりも顧客にとって最善のアドバイスを行う体制にすることが、消費者の信頼を得て「貯蓄から投資・資産形成」へ結ぶ付くとの認識のもとで「顧客本位の業務運営」を行うように、銀行、証券会社、保険会社等の推奨してきました。
ところが、一部の銀行、証券会社、保険会社等では、いつまで経っても自社の収益を優先するあまり、顧客に適したアドバイスを行っていない状況を鑑み、米国や英国で導入されている制度を参考にして、中立的なアドバイザー制度を取り入れることになったと思います。
今後、「資産所得倍増プラン」がどのように進んでいくかは未確定な部分はありますが、私のような金融商品や保険を販売せずに、金融機関から独立しているアドバイザーに対する期待は大きいものがあり、より一層知識やスキルを習得して「顧客本位で、独立したプロフェッショナルなアドバイザー」を極めていきたいと考えています。
今回のサッカー日本代表の躍進のように、「資産所得倍増プラン」を起点として、日本が「資産形成」の発展途上から脱却して「資産形成」先進国に仲間入りを果たし、多くの人が勤労所得の向上に加えて、資産所得の増加させていくためための一翼を担っていきたいと考えています。
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