はじめて「遺言書」を書いたら、やっぱりそうだった!
皆さま こんにちは!
老後の安心と家族の幸せづくりの専門家 ファイナンシャル・プランナーの寺田尚平です。
7月10日からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」を活用して、作成した「自筆証書遺言」を法務局に保管しました。
遺言書を書いたと言ったら、「余命宣告でも受けたの?」と言われそうですが、私は現在57歳で、とっても元気で健康です。
また、財産も多くなく、当然ながら相続税とは無縁です。
それなのになぜ?って言われそうですね。
理由は、試してみたかったんです。遺言書を書くとどんな気持ちになるか?
今まで、お客様の遺言書を作成するサポートをさせていただいているなかで、多くの方が、遺言書を書いた後
「スッキリした」
「これからの人生をより前向きに、生きて行こうという気持ちになった」
などの感想を伺っていたので、本当にそうなのか?自分で体験してみたかったからです。
今回のブログでは、遺言書や保管制度の概要とともに、遺言書を書いた時の感想などをお伝えします。
目次
「遺言書」と「遺書」の違い
「遺言書」と「遺書」を同じようなものと考えている方が多いように思います。
「遺言書」と「遺書」は、全く別のものです。
「遺言書」は、法的な要件を備えた法的に効力の持つ文書です。
確実に本人が書いたものであっても、法的な要件を満たしていなければ、法的には無効になります。
内容については、何を書いても自由ですが、法的な効力を持つ内容は決められていて、
①身分に関するもの
②相続に関するもの
③財産の処分に関するもの
といった3つのグループに大まかに分けることができます。
したがって、「遺言書」は、自分の死後、相続において法的な効力を発生させることが、主な目的となります。
それに対して「遺書」は、法的な効力がありませんので、亡くなる前に自分の気持ちや想いなどを家族などに書き残すものです。
死期が迫った人が、ベットのうえで意識もうろうとするなかで、震える手で書く手紙や自殺する人が書き残す手紙のイメージです。
「遺言書」は、英語で「WILL(ウィル)」、「遺書」は「NOTE(ノート)」です。
「WILL」は、「意思」という意味があり、自分の「意思」をしっかり伝えるという力強い、積極的なイメージがあります。
「遺言書」は、死を間近にした時に書くものではなく、また病気になった時に書くものではなく、老若男女にかかわらず、元気で、しっかり意思表示できる時に書くべきものです。
「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」
遺言の方式には、主なものとして「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
「自筆証書遺言」は、本人が遺言書の全文(財産目録を除く)、日付、氏名を自書して、押印するものです。
いわゆる「手書きの遺言書」です。
自書さえできれば本人だけで作成できて、費用も多くかかりません。
しかし、本人が死亡後、子どもなどの相続人に発見されなかったり、改ざんされてしまう心配があります。
また、本人の死亡後、自筆証書遺言を家庭裁判所に持ち込み、遺言書の存在を明確にするための手続「検認」が必要になります。
この「検認」を行うのに、結構な労力がかかることになります。
「公正証書遺言」は、本人だけで作成することができす、最低でも法律専門家である公証人と証人2人の関与が必要です。
また、公証役場への手数料等の費用が必要になります。
公証人が、関与して作成することになりますので、自筆証書遺言に比べて、形式的な不備のない、法律的にもしっかりした内容の遺言書を作成できる場合が多いと言えます。
遺言書の原本は、公証役場に保管されているため、紛失や改ざんの心配はありません。
このようにそれぞれにメリット・デメリットがあります。
そこで「自筆証書遺言」の手軽に作成できるメリットを活かしながら、そのデメリットを解消するためのしくみが、7月10日からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」です。
「自筆証書遺言書保管制度」とは?
この制度は、自分で作成した「自筆証書遺言」を法務局に預かってもらう制度です。
和歌山県内では、和歌山市、橋本市、御坊市、田辺市、新宮市の法務局(支局)にて、「自筆証書遺言」を保管してくれます。
保管する時に、法務局の職員が自筆証書遺言について外形的な確認(全文、日付、氏名の自書、押印の有無等)を行ってくれます。
遺言の内容についての相談にのってくれたり、遺言書の内容の有効性を保証することはありません。
あくまでも、作成した遺言書を保管するという立場です。
遺言書の原本とデータは、法務局で保管されますので、紛失や改ざんなどの心配はありません。
本人が死亡した後、子どもなどの相続人が、法務局に証明書を請求します。
その証明書で、預貯金や自宅などの名義変更を行うことができるようになります。
そして、「自筆証書遺言」を作成した場合、子どもなどの相続人にとって、大きな負担になる家庭裁判所による「検認」が不要になります。
遺言書の保管申請に必要な費用は3,900円で、数万円以上かかる公正証書遺言に比べるとリーズナブルです。
ここで「自筆証書遺言書保管制度」と「公正証書遺言」では、どちらがいいのという疑問を抱く方もおられると思います。
ケースバイケースでないかと思います。
相続させる財産の種類、相続人の状況、遺言書の内容などによって、どちらが合っているかを検討する必要があります。
比較的単純な内容であったり、相続人の間でトラブルが発生する可能性が低いと考えられるケースや遺言書を書き直すことを前提に、とりあえず作成する場合は、「自筆証書遺言書保管制度」が向いているものと考えます。
遺言書を書いてみて・・・
私が書いた遺言書の内容は、妻にすべての財産を相続させるというとても単純な内容です。
だだし、万が一妻が私よりも先に亡くなっていた場合や同時に死亡した場合、子ども2人にどのように引き継がせるかを書きました。
万が一妻が、私より先に亡くなっていた場合は、その時点で改めて遺言書を作成することもできますが、もしその時に私が認知症などにより、意思判断能力が低下している場合は、遺言書を作成することはできません。
このようなことを考えたうえで、書く遺言を「予備的遺言」と言います。
正直、子ども2人に、どのように相続させるかについては悩みました。
それは、財産が多いからではなく、自宅という不動産があるからです。
死亡した時に、預貯金等の金融資産であれば、ほぼ思うように分けることができますが、不動産はそうはいきません。
二分の一ずつの共有にすることもできますが、それは、将来に問題を起こすタネを作るようなものです。
不動産は、ひとりの子どもに相続させるとして、もうひとりの子どもとのバランスをどうやってとるか?という問題です。
ここは、生命保険の受取人について、工夫することで、ある程度解消することができたものと考えています。
遺言書の内容を考えたり、書いている間に感じたことは「果たしてこの分け方で、いいのだろうか?」「不満に思わないだろうか?」ということです。
そして財産の引き継ぎ方については、元気なうちに家族で話し合いをしておくことが大事だということです。
私の場合、妻には、遺言書に書く引き継ぎ方については、事前に妻に話しておきましたが、子どもには伝える機会がなかったため、遺言書を作成した後に伝えました。
遺言書を作成しなければ、遺された子ども達だけで、財産の引き継ぎ方を考えることになります。
私自身が、分け方について悩んだよりも、親がいない状態で、子ども達同志で円満に決めることは、とても難しいのではないかと感じました。
やっぱり決めておいてあげるのが、「親の重要な努め」であり、自分の人生に最後まで責任を持つことだと思います。
しかし、親の一方的な考えを押し付けるのも、よくありません。
子どもの考えや気持ちも配慮することも必要です。
そのためには、元気なうちに「家族会議」を開催して、相続について話し合うことが大事です。
そのうえで、遺言書、生命保険、家族信託などの法的に有効な手段を講じることがベストです。
それと、家のなかにあるものは、本当に整理しておかないと、遺された家族が困るだろうなということも感じました。
私の場合、なかなか捨てられない性格で、多く本がありますので、これを何とかしておくことが、重要な課題です。
私は、遺言書の最後に「付言事項」として、家族への感謝の気持ちを書きました。
「付言事項」とは、法的な効力はありませんが、多くの場合、家族への感謝の気持ちや遺言書に書いた分け方になった理由などを書きます。
遺言書のなかで、この「付言事項」は、とても重要な役割を果たします。
恥ずかしながら、書いているうちに、涙ぐんでしまいました。
遺言書を書き終えて、法務局での保管手続が完了した後は、やっぱり「スッキリ」した気分になりました。
「とりあえず、いつ自分に何かがあっても、家族を悩ませることや困らせることは、少なくなった」という安堵感を覚えました。
そして、ひとつの課題である「断捨離をしておかないと・・・」という気持ちに加えて
「まだまだ、仕事頑張らないと!」
「もっと、趣味や旅行などを楽しまないと!」
「もっと、家族との時間を大事にしないと!」
という気持ちがムクムクと沸いてきました。
やっぱり、遺言書を作成した先輩の言う通リでした。(笑)
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